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(AL関連の実践)【中学校/数学】学び合いを通した授業展開-基礎基本の力を自ら考え応用する力へ

川勝義隆(京都府南丹市立園部中学校)

京都府南丹市立園部中学校のウェブサイト

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対象授業

 

 

第1節 授業の目標

学習は、これまでに連立方程式の加減法、代入法を元に、様々な連立方程式の基本的な解き方について学んだところであり、これを利用して、 日常的な現象に連立方程式がどのように利用できるかを考察し、適した式を立てることで問題解決につなげる内容である。現段階では、連立方程式の解き方については、 ほとんどの生徒が理解しているため、問題解決に連立方程式が利用できることの良さを感じられるようにすることを目標とする。そこで、様々な問題を提示し、 問題の中に個々の生徒の気づきを引き出し、それを仲間と共有する事で、適切な問題解決に導けるように指導を行った。特に本時については、 理科の授業で学んでいる「食塩の濃度」の問題を課題として提示し、より身近な現象を数的に解決できることの喜びが感じられることを目標として指導を行った。

 

 

第2節 授業の流れ(前時の導入及び本時50分)と工夫

(1) 前時の授業(事前学習)

食塩が身近な題材としても、濃度を考えるには、生徒の苦手な「割合」の考え方を使わなければならないため、しっかりした復習が必要である。 既に、小学生の時に「濃度」についての学習しているが、そこでは文字を使わず、具体的な値を求めることが中心である。時間中に振り返りと指導を行う予定であったが、 授業の内容や進行度合いから、本時の前の時間に事前学習として行った。

授業は、グループ(3~4人)で解き方や解答を考えさせることで、割合の苦手な生徒も含め、ほとんどの生徒が問題を解くことができた。また、答えが具体的な値として出るので、 生徒も積極的に挙手をして答えることができた。

 

 

  

(2) 本時のめあての提示と課題の解き方の確認および指導

授業の初めには、この一時間で何を学ぶのかについて、必ず「めあて」の提示を行っている。今回も事前に復習した内容を確認し、めあての提示を行った。めあて「濃度を連立方程式で考える」

さて、濃度や速度などの割合の問題は、単位やその求め方に混乱を生じる生徒も多く、1年生時の文字式や方程式の時より、 表をかかせ、その表をきちんと完成させることで式を考え、解答を導き出せるように指導をしている。今回の食塩の濃度の問題についても、表を用いて式を立てることを指導し、 表を書くことから学習を進めた。表を書いて式を求めることを示した後、個々に解答を求めさせた。分数の計算に戸惑う生徒もいたが、個別学習でありながらも、周りの生徒との教え合いで、 ほとんどの生徒が解を導き出すことができた。

 

 

(3) グループで問題演習を行う

例題で解き方の確認を行った後、解法の定着のために問題演習を行った。この学習においては、グループ(3~4人)で問題を考え、個々である程度解いた上で、作った式の確認や答え合わせを行った。これまでの授業においても、問題演習などで、 答え合わせをグループ(2~4)で行うことも多く、生徒は戸惑うことなく課題の解答などについて話し合うことができていた。

 

 
図表1 問題演習のプリント         図表2 全体指導及び問題演習の様子

 

(4) 濃度の問題を自分達で作る

問題演習によって、基本的な問題が解けるようになった上で、表だけを示し、グループ(3~4人)で生徒自身に問題を考えさせた。 例題と同じような問題を考える生徒、また、現実ではあり得ない濃度を設定する生徒など、様々な考え方が示された。今回の授業においては、 生徒自身の様々な考え方(数の大きさや割合などの概念)を引き出したいという思いもあり、どのような濃度や式を考えるか興味があった。 問題の設定に困っている生徒には、水を混ぜた場合や、食塩そのものを加えた場合などについて示したりもしたが、そうした中で、グループで様々に考えることができていた。

 

 

 
図表3 問題作成をしている時の様子         図表4 板書の様子

 

第3節 成果と課題

(1) 教科指導における成果と課題

 

(2) 「主体的対話的で深い学び」に対する成果と課題

 

 

第4節 研究授業全体の振り返り(数学科の取組、事前の取組も含め)について

今回の研究授業の前に教科で事前研修を行っている。この事前研修では、授業での課題をどうするのか、主発問はどこにもっていくのかなどの議論を行った。当初は、速度の問題からx、yの決め方によって連立方程式の作り方が変わることを元に、より深い学びを目指したが、問題の解決方法がある程度決まってしまう課題でもあったため、速度の問題に付いては、解法の学習に終始した。それに対して今回の濃度の問題は、基本的な解法は決まったものであるが、問作において値の設定のしかたが様々にあり、具体的に濃度を混ぜ合わせる現象としてもイメージしやすく、深い学びにもつながるのではないかと課題を設定した。事前に他の学級での数学科の参観において更に議論を行い、当日の授業となった。しかし、数学教師が問題を解くのとではやはり生徒と思考の違いもあり、予想していたところまでは課題を深められなかったことは、事前研修の甘さであったかと考えられる。また、事後研修では、実際の授業をうけて、授業展開の工夫や、課題提示の様々な方法について再度確認をした。反省とするべきところは、事前に模擬授業を行い、生徒目線での質問や課題解決を行うべきであった。そうすることで、生徒への課題提示や生徒の解答に対する更に深い課題の投げかけにつながるのではないかと確認した。また、正しい解答等考え方に固執するがあまり、ある程度無難な正しい解答が多く、間違ったり、不適切な値がでない状況でもあった。問題作成においては、何気なく設定した値がどのような結果になるのかを予想させ、そして修正させる中で学ぶことも多いと改めて確認することができ、この点が指導の上で不十分であったと言える。授業の全体的な流れとしては、 課題を解決できる方法までは学習が進められ、生徒もほぼ理解することができていたが、その学習をもとにした「主体的対話的で深い学び」につなげるには、まだまだ深く考えていかなければならない。

 

 

溝上のコメント

 

 

 

プロファイル

川勝 義隆(かわかつ よしたか)@京都府南丹市立園部中学校・数学科

  • 一言:数学は、「いかに合理的に考えるか」ということを学ぶ教科だと思っています。日常の様々な場所で数学の考え方が利用されていますが、その考え方の良さを感じられるような指導を目指しています。また、数学が苦手な生徒はたくさんいますが、 私は、「数学が得意な生徒」を育てるのではなく、「数学が嫌いにならない生徒」を育てられるような指導を心がけています。

 

 

 

 

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