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(記事・書籍等)【インタビュー記事】
瀧本哲史(京都大学産官学連携本部 客員准教授)「「魔法の基礎」は中等教育で学ぶ」
『学研・進学情報』2017.9
溝上コメント
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14歳に向けて書かれた『ミライの授業』を通して瀧本氏が主張するのは、仕事や社会に関する考える力や問題意識は「大学生から教えたのでは遅い」ということである。私もまったく同感である。
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難関大学は、同級生がベンチマークになって自己成長にとっての刺激となる。レベルの低い大学で、まわりがやっていないとそんなものかと思うが、難関大学でまわりのレベルが高いと、自分も頑張らねばとプレッシャーがかかる。それが難関大学に行くメリットだと述べる。これもまったくその通りだと思う。
抜粋(下線は溝上による)
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大学で教えてみてわかるんですけど、
大学生ではやや手遅れなんですね。
なるべく早く何でもやったほうがいいと思うし、きっかけを早く作ってあげるといいと思います。(p.2)
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もともとそうなのですが、一生懸命勉強して東大に入ったと思ったら、全国から一番できる人が集まるので、
そのなかでは、実は勉強ができないし、向いてないし、ダメだと思う人は半分以上います。
これはまさに難しい大学に入ったときの呪いで・・・(中略)・・・成功してほめられることがインセンティブになっている人は、それがなくなった瞬間、目的を失いますよね。そうすると、両親にほめられるわかりやすい就職先に就職することで満足してしまうんです。(pp3-4)
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「同級生」というのは、ベンチマークになるという意味で重要です。
例えば、東大合格者が1人の高校と10人の高校の間には大きな壁があって、10人を超えると突然増えるんですね。なぜかというと、東大に行くのは簡単だとみんなが気づくからです。だから、周りがどのレベルにあるのかというのはすごく重要です。周りが低いとそれが標準だと思って低きに流れますが、周りが高いと自分もがんばろうとピアプレッシャーがかかります。ですから、レベルの高い大学に行くメリットはそこにあると思います。(p.5)