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山間を走る特急「やくも」-岡山県伯備線

2008年7月7日

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「振子式電車」とは、曲線の通過速度を本則+25km/hで通過できる、本邦初の自然振子式車両のこと。曲線が多い日本の鉄道路線の高速化に絶大な威力を発揮した。しかし、車体を傾斜させるには架線の張り直しの必要もあり、車体価格も高価なことから、主として長野地区『しなの』、和歌山地区『くろしお』、そして岡山地区『やくも』に充当されている。

最近は、自然振子式から制御付き振り子式に改造されている。自然振子式は、遠心力の力で車体を傾斜させる方式である。カーブに進入してから遠心力で車体を傾けるため、振り遅れが発生し、乗客にとっては乗り心地があまりよくなかった。そこで近年は、ATS地上子から曲線進入前から徐々に車体を傾ける制御信号を受ける(制御付き)振子式に改造されている。

伯備線生山駅入線 381系特急「やくも」(ゆったりやくも新型車両)

<写真1>伯備線生山駅入線 381系特急「やくも」(ゆったりやくも新型車両) 2008年7月
*天気のいい生山駅での写真は美しい。前日はどしゃぶりの雨で空はまっくらだったので、その意味でも感激した。しかし、このあたり携帯の電波が届かないで困った。久しぶりに公衆電話を長々と使った。

伯備線生山駅 381系貫通型特急「やくも」

<写真2>伯備線生山駅 381系貫通型特急「やくも」 2008年7月

山陰本線出雲市駅 381系特急「やくも」

<写真3>山陰本線出雲市駅 381系特急「やくも」 2008年6月
*終着駅出雲市について、ふたたび岡山行きとなる。待機中。側面逆光だが、夕日が正面にかかって美しい。

伯備線上菅-生山間 381系特急「やくも」

<写真4>伯備線上菅-生山間 381系特急「やくも」 2008年7月
*線路のそばで写しているように見えるが、望遠撮影なのでかなり離れている。ちなみに、これを写して帰ろうとすると土手からずるずるとすべり落ちて、溝にはまってしまった。前日雨が降って土手がゆるんでいた。あーあ、という感じだったが、この後急速に太陽が出てきて、あとは「出雲」を待つばかりとご機嫌になった。

東京-出雲市を結ぶ寝台特急「サンライズ出雲」(岡山までは「サンライズ瀬戸」を併設)を撮りに伯備線へ来た。梅雨の時期ということもあって天気と私の都合がうまくかみ合わず、ずるずると6月末までずれこんでしまった。いろいろ都合をつけてようやく行った。今回はそのついでに撮影した、といっては失礼だが、岡山-米子を結ぶ縦の線、伯備線特急「やくも」を紹介する。

<写真3>の正面右上に「Yakumo381」と小さく書いている。雷鳥の485系特急と顔は似ているが、この381系特急列車は振り子式だという点で485系とは区別される。伯備線は<写真4>のようなカーブの連続だ。振り子式列車でも右行ったり左行ったり揺れがすごいのだから、ふつうの列車だったらどうなることやら、という感じだ。このような381系は、ほかにも和歌山の紀勢線特急「くろしお」や長野中央本線の「しなの」で用いられている。色は国鉄色ではないが、顔はほとんど同じで懐かしく感じる。

<写真2><3><5>は旧型の特急「やくも」で、<写真1><4>の新型車両に漸次置き換わり始めている。新型は「ゆったりやくも」と愛称がついていて、座席の快適さを追求しているようだ。あと、後者の展望パノラマカーも新型の特徴の一つだ。たとえば<写真1>の最後尾を見ると、かすかにパノラマカーであることがわかる。ちなみに、私はこのパノラマカーは絵にならないので嫌いだ。撮影対象から完全に外している。

旧型の「やくも」のださいところは、(これも実は撮影対象から外しているのだが)、<写真5>の最後尾を見れば少しわかるが、色の違う紫色の車両が付けられていることだ。これは2006年3月のダイヤ改正で廃止になった特急「スーパーやくも」の車両一部である。こういうのはやめてほしい!私は、緑の「やくも」が前に来るように撮影するか、影で後ろが見えないように隠している(たとえば<写真2><3>)。

<写真4>は、「サンライズ出雲」を撮影する1時間前に撮影した、始発の岡山方面「やくも2号」だ。上菅駅を6時半頃通過する。朝早い時間帯に山際を走る列車には、太陽が昇りきっておらず光が届かない。順光も逆光もない。この場所、前日もうろうろしていたのだが、前日はどしゃぶりの雨で、ただ「やくも」が通過するのをながめているだけで終わった。悔しいから1枚くらいは撮って帰ろうと思って撮った写真だ。

伯備線新見駅 381系貫通型特急「やくも」

<写真5>伯備線新見駅 381系貫通型特急「やくも」 2008年6月
*今回は新見駅にホテルをとった。撮影地の上菅(写真4)は大雨で、良い写真が撮れず10時半頃はやばやと新見に戻ってきた。新見は晴れていた。くそー!という感じの1枚。「やくも」はいつでも撮れるから、これでご機嫌になってはいけないのだ。

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