寝台特急「サンライズ出雲」-Mさんの息子さんに
2008年7月25日
今回は、Mさんの息子さんからリクエストをいただいていた寝台特急「サンライズ出雲」である。1日1往復なのと、やはり寝台特急なので撮影時間帯が限られており(しかも天気の事情もあり)、ホームページに出すまでにけっこう月日を要した。
「サンライズ瀬戸・出雲」(以下「サンライズ出雲」)使用の285系は、583系の寝台列車が廃止されて以来はじめて開発された最新の寝台列車である。全車個室寝台である点が大きな特徴である。私のHPトップバナーはDD51牽引時代の寝台特急「出雲」で、その原版写真はこれである。京都から山陰本線に入り出雲市へ向かうDD51の寝台特急「出雲」は2005年に廃止された。この「サンライズ出雲」は、岡山経由で伯備線に入り、米子で山陰本線に入り、出雲市へ到着する(図1参照)。
<写真2>伯備線上菅駅通過 285系寝台特急「サンライズ出雲」 2008年7月
*出雲が来る30分ほど前に地元のおばあちゃんが駅に来て、私に話しかけてきた。孫をスクールバスに乗せて(小学校は隣村・・・というやつ)、その勢いで駅の待合室に来て暇つぶしというわけだ。前日も同じ時間帯に私はその駅にいたから、「おおー、今日もいる」と思って話しに来たらしい。気さくなおばあちゃんで土地の話をいっぱいしてくれたが、時間が気になり始めた。あと10分で出雲が来る。露出も何もチェックしていない。「おばあちゃん、ごめん、あと少しで電車来て写真撮らなあかんのよ。この電車のために京都から来て、昨日も駄目だったのね」と説明して、「ああ、わかった。行って!行って!」と理解して離してくれた。何とか出雲は撮れた。よかった!
<図1>東京-岡山-出雲市を結ぶ「サンライズ出雲」
<写真3>伯備線新見駅近くから 2008年7月
前日は雨。「今日こそは!」と思って起きてみたらこれだ。空は真っ白、霧だらけ。(泣)
さて、東京行きの上り「サンライズ出雲」は、朝7:08に東京へ着く。走行写真を撮ろうと思えば、海、山に囲まれた熱海、真鶴、根府川あたりが代表的だが、このあたりを通過するのは6:00前と時間がはやい点が難点だ。この時間帯で撮影ができるのは夏至から夏にかけて、というのがセオリーだが、同時にこの時期は梅雨の時期でもあって難点に拍車がかかる。良い太陽の光を得る確率はけっこう低い。
ところが、今回はラッキーなことに一度で絶好の快晴に恵まれた。<写真1>は熱海近くの根府川橋梁を渡るところ。東京に向かっているということは、朝日が昇る東に向かっているということであり(図1参照)、正面、側面ともに順光だ。これはきれいな写真だ。
<写真2>は、少し撮影に手が込んでいる。
図1をもう一度見てもらいたい。出雲市へ向かう下りの「サンライズ出雲」は、岡山から米子に向けて、いわば縦に北上する。そして、米子経由で西の出雲市へ到着する。下りの「サンライズ出雲」は岡山駅で「サンライズ瀬戸」を切り離し6:33に出発する。米子駅に着くのは9:03だ。米子-出雲市間はたいした撮影地はないので、撮影するなら伯備線岡山-米子間のどこかだ。
しかし、難点は朝の太陽は東に位置しており、列車は北に向かうという点だ。ふつうに考えて正面に光は当たらない。そこで伯備線の線路の方向を地図で丁寧に調べ、(太陽の位置する)東に蛇行するあたりを撮影地に選ぶ。その1つが図2で示す上菅(かみすげ)あたりだ。このあたりは北上し西に向かわねばならない「サンライズ出雲」が、東へと大きく遠回りをするところだ。いわば、朝日に向かって旋回してくれるのだ。<写真2> はそういう条件のなかで撮影されたものだ。梅雨の中の快晴日。良い光だった。
ちなみに前日は大雨で、<写真2>を写した朝も6:30くらいまでは山に霧がかかって天気は悪かった(写真3)。しかし、あーあと思っているさなか、一気に日が差してきた。うれしかった。上菅近くで「サンライズ出雲」の1時間前に写した特急「やくも」の写真を見ると、まだ日が差していないで空が暗いのがよくわかる。山の天気は変わりやすいと言うが、えらい違いだ。
<写真6>は先ほど書いた7:08に到着する終着東京駅9番ホーム。ホームの端から300mm望遠で撮影。この構図は鉄道雑誌でも見たことがない。ここでの写真を今回のページの締めくくりとしたい。東京駅の7:00頃、太陽はこの電車の左低い位置にいる。この時間帯の高さでは、屋根のある東京駅の線路にどうしても光は入ってこない。晴れと曇天のときといろいろ比べてみたが、大差はない。これで今回はフィニッシュだ。
<写真5>285系寝台特急「サンライズ出雲」 伯備線倉敷駅 2008年6月
<写真6>285系寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」 東海道本線東京駅9番ホーム入線 2008年7月
*「サンライズ出雲」が来る前に、最近よく邪魔される携帯デジカメの小僧が私の5mほど前に現れた。電車が入線するときにいきなりばっとホームの端に立ち寄って、私の望遠レンズのど真ん中に仁王立ちされたことが何度かあること、フラッシュバックした。実はこの写真を撮るのに六度くらいこのホームに通っており、今日で決めようと思っていたちょうどそんなときだった。私は仁王立ちされてはかなわんと思い、「電車入ってきても、この線から絶対越えるなよ」と強く警告しておいた。小僧は写真を撮らずに去っていった。ちょっときつく言い過ぎたかもしれない。(泣)
*やはり入線の10分前、100万くらいするカメラを持った私くらいの年齢の鉄ちゃんが来た。Velviaのポジフィルムなんか用意しているからこれは気合い入っているなと思いきや、入線シーンは撮影しない。「こいつ何を撮るのだ」と見ていたら、出雲が止まってからカシャカシャ。ちなみに、私の評ではこの構図は最低だ。撮る気にならない。「もうちょっと頭を使え」とブツブツ言いながら駅を去る。