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アクティブラーニング型授業がうまくいくと、活発な議論が行われ、豊かな学びが生まれます。しかし、そこは中高生のことですから、ついつい夢中になって、度を越えて盛り上がったり、学びの場であることを忘れたような振る舞いをしたりすることもあります。
アクティブラーニング型授業では、教員が教室をコントロールすることが、講義中心の授業と同様、あるいはそれ以上に重要になります。
本項では、生徒が学びに向かうために教室をコントロールすることについて、桐蔭学園で行われている取り組みを少し紹介しましょう。
全教室にこうしたポスターを貼りだしています。2015年4月のアクティブラーニング始動に先立って行われたアクティブラーニング推進委員(AL委員)の合宿で、大学ならばともかく、中学高校段階では、共通の目標やルールがあったほうがいいのではないか、それが視覚化されているのがいいのではないかという議論がありました。そこで、ミーティングやAL委員のメーリングリストで意見交換がされ、このようなポスターができ上がりました。
高校・中等後期版の目標に「社会につなげる深い学び」とあります。AL導入は、生徒たちが大学・社会で力強く活躍することを目指すものであることを示しています。中学・中等教育前期でも事情は同じですが、生徒たちには大学・社会への距離感がまだあり、このフレーズを意識しづらいと思われました。そこでまずは「互いの考えを伝え合う」ことじたいに「まことをつくす」(桐蔭学園の校訓の一に、「すべてのことに『まこと』をつくそう」)ことを目標としました。実際の授業で、社会につなげる深い学びを目指すことは変わりません。
振る舞いについては、中学・中等教育前期版の方が、より具体的になっています。特に強調したのは「笑顔」です。高校・中等後期となると、「誠実な態度」で話し・聴くことを指針としています。
ペアワークやグループワークを始める前に、この原則ポスターを確認することで、生徒も教員も方向性を見失うことなく学びに向かうことができます。
AL委員のひとりが描いたポスターです。これも全教室に貼り出しています。姿勢の悪い生徒がいたら、何も言わずにこのポスターを指さすなどしています。生徒自身が自分の状態を認識できるようにしています。もちろん、厳しく叱ることもあります。
以上、いくつかの取り組みを紹介しました。アクティブラーニングにおいては生徒の主体的な学びが重要ですから、生徒が自分の学びの状態に気づき、よりよいものにしていけるように促すことが大切です。ただし、これはすべてを生徒に委ねることではありません。教員が厳しい態度で臨むことも時には必要でしょう。もちろん、叱ることがあまり多くなると、生徒は教員の顔色を窺うようになります。
社会につなげる学びのために、教室をどのようにコントロールするのがいいのかについて、教員ひとりひとりが自ら考え続けることが大切でしょう。