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コロナ情勢に対する学校の状況(中学高校)(2020.5.4版)

(お断り)
・本ページは、教育コロナ会議等を通して「コロナ情勢に対する学校の状況(中学高校)」を溝上がまとめたものです。しっかりしたものを作ろうと考えすぎると時間がかかるので、たたき台程度として随時更新する形を取ります。理解や状況把握がうまくできず、不適切な説明になっている箇所は遠慮なくご指摘ください。必要に応じて修正していきます。
・教育コロナ会議の趣旨と目的はこちらを参照してください。

 

①緊急事態宣言解除に向けた中学高校の状況
・大きくは4.29版の状況(下記)から変化はないが、より細かくわかってきたこともあるので、まとめておく。
コロナ情勢に対する学校の状況(中学高校)(2020.4.29版)

 

・全体的には、緊急事態宣言の解除に関係なく、コロナ情勢の長期化をにらんでオンライン授業をより質の高いかたちで進めようとしている私立の学校と、臨時休業明けの対面授業を待つ公立の学校との差が大きく表れている印象を強く受けている。

 

・公立の中学高校について。昨日(5/4)正式に緊急事態宣言が5月末まで延長されたが、すでに5月末まで臨時休業延長を告知している学校は多い。他方で、5/7以降の臨時休業の延長を明確に示していない県・市町村も少なからずある。特定警戒都道府県の学校では、実質的には6月に入って対面授業を開始しようという見通しかもしれないが、5/1に文科大臣から分散登校の考えも出されており、判断が難しいかもしれない。小中学校は通学地域が狭いが、高校では、生徒が公共交通機関を利用して広範囲のエリアから通学してくるので、とくに特定警戒都道府県の高校は5月いっぱいの再開は難しいかもしれない。休業期間延長の場合は、一般的には引き続き、1週間に1回程度学習課題を送り健康等のチェックをするということなのだろう。
・特定警戒都道府県以外の地域では、5月末まで臨時休業と告知していても、新たな感染者が出ていないこと、地域の地理的特質などもふまえて、連休明けから半ばにかけて徐々に授業を開始すると告知し直す市町村も出てきた。
・学習課題の結果に対して、添削やコメントなどのフィードバックを行っている学校はあるが、きわめて少ない印象で、多くは一方通行的に与えているだけのようだ。生徒は課題に取り組んでも取り組まなくても、何も変わらないようである。わからない問題に対して教えてくれる人がいない、結果そこで学習が止まっているという声も聞いている。
・とくに重点指定校やトップ進学校の高校で顕著だが、Googleアカウント(ClassroomやMeet)、Zoomなどを用いてオンライン授業を行っている公立の学校がある。ただし、県や市の臨時休業の通知に合わせないといけないので、正規の授業ではなく、休業期間中の繋ぎのイメージのようである。県や市の休業期間延長の号令には他校と合わせる必要もあり、私学でなされ(ようとし)ている時間割通りの正規のオンライン授業は見込めないように見える。
・とくに高校であるが、Googleアカウントを生徒に持たせていながら、またコロナ禍以前にBYODの取り組みを謳っておきながら、この期間、生徒との双方向的なオンライン授業を行えていない学校が少なからずある。なぜだろうか。校長をはじめとする組織マネジメントの問題であると、どうしてもそこに思考が行く。

 

②時間割通りに進めるオンライン授業はいかがか?
・時間割通りの授業を進めることへの懸念は、4.29版(下記)でまとめている。その懸念は今もあるが、4月の1ヶ月間を時間割通りにオンライン授業を行った私立の学校から、生徒の脱落やだらけなどの問題が生じて授業が成り立たなくなったなどの報告は聞いていない。生徒がうまく取り組めるなら、次は学習の質を見ていくことになるので、それはそれで良い展開である。
コロナ情勢に対する学校の状況(中学高校)(2020.4.29版)

 

・時間割通りにオンライン授業を行うが、1日おきとし、中日は課題や演習に取り組ませる学校の事例も聞いている。うちの中学高校は、連休明けより、30分短縮授業としてオンライン授業を実施し午前中で終わらせる。残りの20分分は午後に個人で宿題や課題へ取り組ませて補完することにしている。

 

③家庭のオンライン学習環境について
・この問題はあまり議論されなくなっている印象だ。
・私学では、家庭にオンライン学習環境の整備をお願いし、対応の難しい家庭にはPCやモバイルWiFiルーターの貸し出しなどを行って環境を整えてもらい、基本的にはオンライン学習環境に問題はないと見て、連休後の本格的なオンライン授業に向けて進めている学校が多い。
・公立は①で述べたとおり、重点指定校やトップ進学校の高校等を別として、全体的には家庭にオンライン学習環境の整備を求める動きはあまり聞いていない。臨時休業明けの対面授業を待っているようである。
・公立の高校で、重点指定校やトップ進学校ではないが、家庭のオンライン学習環境を実態調査し、県との調整をして整備を促す学校が出始めている。対面授業が開始(再開)されるにしても、いつまた学校閉鎖となるかわからない状況なので、この動きは応援して注目していきたい。
・同じ県の公立の学校で、同じように県から指示が出されているにも関わらず、その後の学校の取り組みが相当異なっている。校長をはじめとする組織マネジメントの問題をどうしても読み取ってしまう。

 

④在宅生活、オンライン学習他について
・オンライン授業や学習の保障を考えることは重要だが、まずは生徒が学校や教師と繋がっている感覚を持てるようにしてあげることがより重要である。3月はじめに臨時休業の告知が出されてはや2ヶ月。生徒たちの在宅生活や学習は限界に達している。まず、学校や教師と繋がって在宅生活を頑張れるような促しをしてあげてほしい。それを確認した上で、次は学習を進めることである。この順序を間違えないようにしたい。
・長期にわたる在宅生活下において、自律的に生活し学習を進める生徒たちがいる。規則正しい生活をし、学校からの課題に取り組み、軽い運動や体操もしている。大人でも抑鬱的になっているこの状況で、すばらしいことだ。他方で、学校からの課題は適当にやり過ごし、昼夜逆転、ゲームやYouTube視聴ばかりという他律的な生徒も多い。コロナ禍、在宅生活に関係なく、ふだんからの自律性・他律性の問題がここに来て一気に露呈していると見る教師は多い。
・公立の一般的な状況を見て、オンライン授業をすべての学校に求めることは憚られるが、コロナの長期化をにらんで、県や市町村と連携してオンライン授業の対策を早急に進めるべきだと思う見方は記しておきたい。
 政府や教育委員会、教育産業等が提供する動画の学習コンテンツを示して学習しておきなさい、と促すのは限界がある。それで学習できるのは、基本的には自律性の高い上位層の生徒である。学習意欲の高くない中下位の生徒たちには、誰に教えられるか、誰が授業者かという教師-生徒の特定の関係性がかなり必要である。それは、赤ちゃんや子どもが養育者なら誰でもいいというわけではなく、特定の親・養育者にしかなつかない、特定の親・養育者のケアをもって育っていくという、あのアタッチメントの法則に似ている。
・オンライン授業ならではの生徒のすさまじい課題への集中力を感じ取る教師が少なからずいる。たとえば、YouTube動画を見せてそれにコメントを送らせるという課題を与える。対面授業の時には適当にやり過ごす生徒たちが、情報が限定されるせいか、コメント作成に集中してくるということが起こっている。また、大学のオンライン授業では(下記)、医療や史跡などの現場から専門家が現地レポートして、そこから講義を行うなどの、オンラインならではの授業が展開している。
 オンデマンドの授業・学習コンテンツを2倍速、3倍速で見るような生徒の学習の仕方も話題になっている。決して新しい現象ではないのだが、(オンライン)授業という形式の中でこのようなオンライン学習に一定程度慣れた生徒学生が、果たしてコロナ終息後に、対面授業のスピードに耐えられるのだろうか。オンライン学習は個人差を大きく促すが、そんなポストコロナの教育界の状況も議論され始めている。
コロナ情勢に対する学校の状況(高等教育)(2020.5.4版)

 

→過去の記事(目次) http://smizok.net/education/subpages/a_corona.html
◆高等教育
・コロナ会議:コロナ情勢に対する学校の状況(2020.4.21版)
・コロナ会議:コロナ情勢に対する学校の状況(2020.4.29版)
・コロナ会議(2020.5.2版)
  ①オンライン授業における学生のモチベーション/②対面授業とオンライン授業の相違点を知る 
◆中学高校
・コロナ会議:コロナ情勢に対する学校の状況(2020.4.21版)
・コロナ会議:コロナ情勢に対する学校の状況(2020.4.29版)
・コロナ会議(2020.5.2版)
  ①オンライン授業における生徒のモチベーション/②対面授業とオンライン授業の相違点を知る 

 

 

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