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(AL関連の実践)【高校/世界史B】グループワークを生かした世界史Bの授業展開

髙木一輝(岐阜県立各務原西高校)

岐阜県立各務原西高校のウェブサイト

(溝上のコメントは最後にあります)

対象授業

 

 

第1節 目標

世界史Bにおける標準の授業をアクティブラーニング型で実施することで、次のことを達成したい。
①クラス全員が課題を理解できるように、全員で協力することができる。
②生徒が主体的に課題に取り組むことで、知識の定着度を深めると同時に、歴史的な意義や因果関係など抽象度の高い議論を自ら追究する姿勢をはぐくむ。
③入試においていわゆる「M字分布」となりやすい世界史において、取り残されがちな成績下位層の引き上げを行う。

 

  

第2節 授業の流れ

事前学習

 図1 授業プリント

 

冒頭(5分)

学習活動(35分)

 

 図2 授業の様子

(左)周辺の生徒同士で机を寄せたり、場合によっては席を立ち、自分より分かっている生徒の席まで移動して話し合う中で課題に取り組み、理解を深める。

(右)授業プリントの左側は事前に予習してくる知識パート。授業までに空欄を埋めておくことで、教科書や用語集に一度は目を通すことになり、この一時間の核となる知識が予備的に入ってくる。ただし、その理解度には個人差が当然発生する。課題に取り組む中で、その理解度の個人差がコミュニケーションを生む。

 

 

 図3 学習の様子

(左)プリントの右側に、この時間に取り組むべき「本時の課題」が配置されている。その下の余白に、生徒によってはチャート図風に、生徒によっては文章で、課題に対する説明を用意していく。

(右)時間の終わりに生徒の一人に課題に対する説明を発表させる。その内容を教員が板書し、最後に補足して授業を終える。

 

発表(10分)

 

 

第3節 アクティブラーニング型授業転換後の影響

① 授業進度アップ

講義形式で授業を進めるより、2~3倍程度はやく進んでいる。これは実施前から見込んでいたことであるが、1枚の授業プリントが確実に1コマの時間内で終了する。講義形式だと、「今日はこのネタに熱が入ってしまった」ということが多々ある(社会科教員には、ありすぎる)。

現在の授業進度であれば、問題演習時間を十分に確保することができる。授業の中でレポート課題に取り組ませるなど、授業進度に追われていてはじっくり向き合えないことも実施できると考えている。

 

② 成績下位層のレベルアップ

教員1名で40名を教えるより、複数の「教師役」が教室内に現れることで授業効果が高まるのではないかと考えていたが、ここ3ヶ年の前期中間考査の得点分布を比較してみるとそのことが裏付けられた。ここ3年間の3年次生はすべて私が担当しており、授業の範囲や平均点もおおよそ同程度である。ここで問題になるのは得点そのものより、得点分布なのだが、27年、28年の分布に比べて29年度は成績上位者の山が大きく、下位の生徒が少ないことが読み取れる。

 

 図4 前期中間考査年度別比較

 

第4節 今後の課題

目に見えやすい数字の上では結果が出ているようにも感じられるが、今後改善すべき点も多々ある。

① 「全員が理解する」という目標に到達させる、ということについての課題

② 振り返りの活用:プリントの末尾には振り返り項目があるが、フィードバックができていない状況である。

 

 

参考文献

溝上慎一『高等学校におけるアクティブラーニング事例編(アクティブラーニング・シリーズ第5巻)』東信堂、2016

西川純『すぐ実践できるアクティブラーニング高校地歴公民』学陽書房、2016

 

 

溝上コメント

 

 

【参考ページ】

✓ (AL関連の実践)宮田隆徳(名城大学附属高等学校)「ScrapboxとYouTubeを利用した反転授業」

✓ (理論)深い学びとは

✓ (桐蔭学園の教育改革)前に出てきて発表

 

 

【参考文献】

✓ 小貫悟・桂聖 (2014). 授業のユニバーサルデザイン入門 東洋館出版社

✓ 田中博史・桂聖 (2016). ドキュメント算数・国語の「全員参加」授業をつくる (長州 田中桂塾 第1弾) 文溪堂

 

 

プロファイル

・ 髙木一輝(たかぎ かずてる)@岐阜県立各務原西高等学校(世界史)


  • 一言:授業に対し、常に刺激を求めて新しい目線を取り入れているつもりですが、そのたびに反省することばかりです。ただ、生徒にも「失敗したこと・負けたことが一番学びにつながる」と言っていますので、自分もめげずに次の一歩を踏み出したいと考えています。

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