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(AL関連の実践)【高校/英語】“対話”で深め“再話”で高める4技能統合型授業

重野金美(大阪府立岸和田高等学校)

大阪府立岸和田高等学校のウェブサイト

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対象授業

 

 

第1節 授業の目標

本授業では生徒の英語の4技能(聞く・読む・話す・書く)の向上を目的として、自らが読んだり、聞いたりしたことや経験したことについて、英語で話したり・書いたりするアウトプット活動に力点を置いています。また教科書で学んだ内容、語彙、文法をアウトプットできるレベルまで引き上げるために、教科書の本文内容についての絵や写真だけを見て要約を口頭で伝える活動(ストーリー・リテリング)を毎回の授業で行います。毎回の授業で、英語を用いたやり取り(対話)の場面を増やし、生徒の英語運用能力を養います。また、学年目標として、1年次の間に英検準2級取得を掲げています。

 

  

 

第2節 授業の流れ

① 1分間チャット

毎回の授業で、生徒は教科書内容に関連したトピックについて、ペアを3回交代して、3人の相手と英語でのチャットを行います。

② ストーリー・リテリング(再話)

前時の復習として、前回の授業で学習した教科書本文の内容について、絵や写真だけを見て、英語で自分のパートナーに伝えます。その際、パートナーに自分がリテリングしている動画を、自らのスマートフォンで撮影してもらい、発表後に動画を見て、自らの発話を振り返ります。

③ オーラル・イントロダクション

教師が、英語を用いて本時で学習する教科書内容の一部について、口頭で説明します。その際、読み取りのポイントとなる問いを与えます。   例)How do plants communicate with insects? What do you think?

④ 思考タスク

オーラル・イントロダクションで教師より投げかけられた問いについて、自ら考え、ペアで英語を用いてのディスカッションを行います。

⑤ 新出語彙の導入

新出語彙(チャンク単位)について、綴り、意味、発音について確認した後、CDの本文音声を聞き、聞こえてきた順にプリントに記載されている新出語彙を並び替えて、その順番を確認します。

⑥ 本文のスキャニング活動

思考タスクの中で、ペアでやり取りをした問いの答えを探しながら、個人で教科書のリーディングを行います。その後、ペア→クラスの順番で答えを確認します。

⑦ 本文の音読活動

次の授業のストーリー・リテリングができるようになることを目標として、様々な音読活動を行います。

例)Listen and Repeat(教師の後に、つづいての音読)

 Overlapping (教科書を見ながら、CD音声に重ねての音読)

 Buzz Reading (個人のペースで自由に音読)

 Cloze Reading(本文にある( )抜きになっている内容語を補っての音読)

 

  
 図1 ワークシート実例(大きく

 

 

第3節 授業で大切にしていること

① 本文を読もうという気持ちにさせる

本授業では、生徒自身に、「英語を読みたい」という気持ちにさせることを大切にしています。その際に、キーワードとなるのが「3方向の対話」です。1つ目はオーラル・イントロダクションで聞いた読み取りのポイント(How do plants communicate with insects? What do you think?など)について自らの意見を英語で作ります(自己との対話)。次に、そのポイントについてペアで英語でのディスカッションを行います(他者との対話)。これらの2つの対話を経ることで、生徒は本文内容について自らの思考を深化させ、教材と生徒が結びつき、本文内容への興味・関心が高まります。その後、興味・関心が高まった状態で、読み取りのポイントを探すという目的を持ったリーディング活動に入ります(教材との対話)。

 


図2 3つの対話(左から自己・他者・教材との対話)

 

② 多様な「他者とのやり取り」の機会を与える

本授業では冒頭の1分間チャットやストーリー・リテリング、教科書本文に関する英語でのディスカッション、ペアで一緒に考えながら(  )抜きの内容語を補う音読活動など、他者とのやりとりの機会を多く与えることで、生徒の思考力・判断力・表現力を高めることを大切にしています。

③ 読むことから話すことへ繋げる

教科書本文を読んで終わりにするのではなく、ストーリー・リテリングの活動を通して、「読むこと」から「話すこと」へと繋げます。その活動を通して、教科書で学んだ内容・語彙・文法を発表語彙(話せる・書ける語彙)まで高めていきます。

 

 図3 ストーリー・リテリングの様子

 

④ 自分の発話を動画で振り返る

授業外では、英語を話す機会も少なく、さらに自分の発話を見る機会はなおさらありません。そこで、授業では上記のストーリー・リテリングの際に自分のリテリングをパートナーにスマートフォンで撮影してもらい、その動画を見て、声の大きさ、流暢さ、十分な情報が入っているか、相手を意識しているか、などの観点から振り返らせ、また気づいたことをワークシートに記述させて、次につなげる工夫をしています。

 

 図4 動画を用いた、自らの発話の振り返り

 

 

第4節 今後の課題

① ストーリー・リテリングの評価(指導と評価の一体化)

本授業では前回学習した本文内容の要約を口頭で相手に伝えるストーリー・リテリングの活動を実施しており、毎回の授業で生徒は自分のリテリング動画を確認し、自らの発話について教員から示した観点に沿って振り返りを行っています。指導と評価の一体化の観点から、できれば、生徒のリテリング動画を回収し、評価に使用することが望ましいですが、1学期は実施できていません。今後は、動画を回収するシステムの構築や授業内でのリテリングテストの実施を行います。

② やり取り(対話)の英語化

本授業では生徒が英語を用いた「やり取り(対話)」の場面を多く与えることに留意しています。しかし、トピックが難しい、生徒に背景知識が少ない、または話を展開させる言葉(英語)を知らない場合など、どうしても日本語に頼ってしまう場面が多く見受けられます。そのため、今後は発話をスムーズにさせるように、丁寧なスモール・ステップを踏みながら、かつ生徒の発表語彙(話せる・書ける語彙)を充実させ、生徒同士のやり取りを可能な限り、英語だけを用いたものにすることをめざします。

 

 

溝上のコメント

 

【参考ページ】

(AL関連の実践)他者との議論を通じた学びの深化(五味智子@大阪府立岸和田高等学校)

✓(理論・データ)逆向き設計(作成中)

(桐蔭学園の教育改革)個-協働-個の学習サイクル(関谷吉史)

(AL関連の実践)アクティブなインプット学習から協働学習につなげる授業(乾菜摘@帝塚山学院中学校高等学校)

 

 

プロファイル

重野金美(じゅうの かなみ)@大阪府立岸和田高等学校


  • 一言:生徒に英語で自己表現をする機会を持たせることで、「自分を表現する」楽しさを伝えていきます。自分自身も生徒の手本になれるよう私にしかできない方法で自己を表現し続けます。

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